あずかった謎:「毎朝、郵便受けに折り鶴が一羽入っている。もう二週間になる。差出人はない。薄気味悪くて、捨てるに捨てられず、玄関に並べている」。坂の上の、おばあさんの一人暮らしのお宅から。
観測:並べられた鶴を見せてもらいました。折り目は、あどけない。何度も折り直した跡のあるものが混じっています。紙は、算数のプリントの裏、広告、そして一枚だけ、テストの答案の切れはし。子どもです。それも、折り紙を覚えたての。
朝の通学の時間、向かいの家から出てきた小さな女の子が、ランドセルを背負ったまま、背伸びをして郵便受けに手を入れるのを、たまたま通りがかった態で、見ました。
そっと、返す:女の子のお母さんに、それとなく伺いました。女の子のおばあちゃん――つまりお母さんの母親――が、春から入院していて、「鶴を千羽折るとよくなる」と、誰かに聞いたのだそうです。けれど千羽は、あまりに遠い。それで女の子は、考えました。「となりのおばあちゃんが元気なのは、鶴のかわりに、おばあちゃんに毎日一羽あげてるから」。理屈は、通っていません。けれど、まじないというのは、そういうものです。
相談者のおばあさんには、そのまま伝えました。翌朝から、郵便受けの上に、飴が一つ置かれるようになったそうです。鶴と飴の物々交換は、その子のおばあちゃんが退院するまで、続いたと聞いています。